Webシステム開発におけるRFPの重要性と作成方法
Webシステム開発プロジェクトの成功は、初期段階での適切な計画と準備に大きく依存しています。その中でも特に重要なのがRFPの作成です。RFPはシステム開発プロジェクトの具体的な要求事項を明確にし、当社のようなベンダーからの提案を求めるための文書です。
本記事では、RFPの重要性、作成の基本ステップ、そして効果的なRFPを作成するためのポイントと、自力で作成できない場合はどうしたらいいのかについて解説します。
RFPとは?
Webシステム開発におけるRFP(Request for Proposal: 提案依頼書)とは、企業や組織が新しいシステムやソフトウェアの開発を外部のベンダー(法人組織が必要とするソフトウェアやシステムの開発を専門的に行う外部の企業)に依頼する際に作成する文書のことです。
RFPは、開発プロジェクトの具体的な要件や条件を明確に示し、複数のベンダーから適切な提案を受け取るために使用されます。
経済産業省のホームページでは下記のようにシステム開発の流れが示されています。超上流工程の「業務要件及びシステム要件」がRFPに該当します。
理想的なユーザと、ベンダの役割分担としては、ユーザが、企画段階において業務要件及びシステム要件(外部設計に対するインプット)を主体的に決定・明確化し、その上で開発段階において、ベンダが主体となって業務全体に対する利害関係者の要件のうち、システムに関する部分(システム要件)についての仕様化を行う。また、外部設計がユーザによる承認を受けた後の要件追加、仕様変更、未決事項等は変更管理手続に則り、委託料・納期等の協議を実施することが望ましい。
出典:情報システムの信頼性向上のための取引慣行・契約に関する研究会~情報システム・モデル取引・契約書~(受託開発(一部企画を含む)、保守運用)<第一版>について
RFPの重要性
RFPは、Webシステム開発プロジェクトの成功において重要な役割を果たします。以下の理由から、RFPは欠かせない要素です。
- 要求事項の明確化
- 競争力のある提案の取得
- プロジェクトリスクの軽減
RFPは、プロジェクトの目的、範囲、要求事項を詳細に記述します。これにより、ベンダーはクライアントの期待を正確に理解し、適切な提案を行うことができます。
複数のベンダーからの提案を受け取ることで、競争力のある価格や優れた技術提案を引き出すことができます。
詳細なRFPは、プロジェクトの潜在的なリスクを予測し、対策を講じるための重要な手がかりとなります。
RFP作成の基本ステップ
効果的なRFPを作成するためには、以下のステップを順守することが重要です。
- プロジェクトの背景と目的の明確化
- 要求事項の詳細化
- ベンダーの評価基準の設定
- 提案書の形式と提出方法の指定
- 契約条件の提示
プロジェクトの背景、目的、目指す成果を明確に記述します。これにより、ベンダーはプロジェクトの全体像を理解しやすくなります。
システムの機能要件(システムが提供するべき具体的な機能や動作)、非機能要件(システムがどのように機能するべきか)、技術的要件(システムの構築および運用に必要な技術的な条件や仕様)を詳細に記述します。具体的な使用シナリオや性能要件も含めると良いでしょう。
提案を評価する際の基準を明確にします。価格、技術力、実績、サポート体制など、評価項目を具体的に示します。
提案書のフォーマットや提出方法、期限を明記します。これにより、ベンダーは適切な形式で提案を提出することができます。
契約期間、支払い条件、保証期間などの契約条件を提示します。これにより、ベンダーは提案に含めるべき条件を明確に把握できます。
効果的なRFP作成のポイント
効果的なRFPを作成するためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- 明確で具体的な記述
- 現実的な要求
- ベンダーとのコミュニケーション
- レビューとフィードバック
曖昧な表現を避け、具体的で明確な記述を心がけましょう。例えば、「システムのパフォーマンスを向上させる」ではなく、「システムの応答時間を2秒以内にする」といった具合に具体的な目標を設定します。
例えば「システムの応答時間を0.01秒以内にする」といった過剰な要求を避け、実現可能な要求を設定することが重要です。ベンダーが無理なく実行できる計画を立てましょう。
RFPの作成過程で、ベンダーと適切なコミュニケーションを図りましょう。事前に疑問点を解消することで、より良い提案を引き出すことができます。
RFPを作成した後、内部でのレビューを行い、必要に応じて修正を加えます。また、ベンダーからのフィードバックを受け入れ、RFPを改善することも大切です。
RFPを自力で作成できない場合の対処法
ここまでRFPの作成方法をご紹介してきましたが、自組織内にシステムに詳しい担当者がいない場合、作成のハードルはかなり高いと言わざるを得ません。
ベンダーの中にはRFPが無いと相談にすら応じない業者も多数存在しています。RFPの作成には多くの時間と労力が必要です。関係者の調整や要件の取りまとめにも時間と人件費がかかります。
よって、RFPが無い案件は門前払いという業者が多いのが現状です。では、RFPを自力で作成できない場合はどうしたらいいのでしょうか?
RFPを自力で作るのが難しい場合は、外部のシステム開発コンサルタントに依頼するか、当社のようなコンサルティングをおこなっているベンダーにご相談ください。コンサルティングをおこなっていないベンダーは、RFPが無いと相談にすら一切応じてくれません。
RFPを自組織内で作成できる場合とできない場合の一番大きな違いは、外部に支払う費用です。前述したとおり、RFPの作成には多くの時間と労力がかかります。RFPが既に用意されていればベンダー側のRFP作成費用がかからないので、その分費用が安くなります。
一方、外部にRFPの作成を依頼する場合は、作成費用が開発費に上乗せされることになりますので、その分費用が高くなります。違いをまとめると下記になります。
自組織で作成できる | 外部に支払う費用は安くなるが、自組織内に専門知識を持ったスタッフがいる必要があり、作成と調整に多大な時間と労力がかかる。 |
自組織で作成できない | 外部に作成を依頼する必要があり、その分費用が高くなる。 |
当社ではWebシステム開発のコンサルティングもおこなっておりますので、RFPの有無に関わらず、ご相談頂けます。RFPが無い案件でも、エンジニアが直接お客様のご要望を伺いながらRFPに落とし込んでいくお手伝いをさせて頂きます。
営業マンではなく、専門知識を持ったエンジニアが直接お客様のご要望をお伺いして要件を定義できるのが当社の大きな特徴です。
※ご相談から概算見積もり作成までは無料で可能ですが、完全なRFPの作成は無料では承れません。
尚、全くあいまいな内容ですとさすがにプロジェクトとして進めるのが難しいため、分かる範囲で構いませんので具体的な内容とご要望をお知らせ頂ければ、RFPの作成コストを抑えられます。
RFPの構成要素
最後にRFPの構成要素をご紹介しますので、これに沿って概要をご提示頂ければスムーズにRFPを作成することができます。ご参考になさってください。
プロジェクトの概要 |
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要求事項 |
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ベンダーの評価基準 |
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提案書の形式と提出方法 |
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契約条件 |
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プロジェクトのスケジュール |
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まとめ
Webシステム開発プロジェクトにおいて、RFPは重要な役割を果たします。明確で具体的なRFPを作成することで、プロジェクトの成功確率を高め、ベンダーとの円滑な協力関係を築くことができます。もし自組織内での作成が難しい場合は、当社のようなコンサルティングが可能なベンダーにご相談ください。
プロジェクトの背景と目的を明確にし、詳細な要求事項を設定し、適切な評価基準を設けることで、効果的なRFPを作成することが可能です。これらのポイントを押さえ、成功するシステム開発プロジェクトを実現しましょう。
この記事を書いた人
2024年05月27日
記事のカテゴリ:Webシステム開発