不動産業界のDX化はなぜ進まない?

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不動産Webコンサルタント 東口
2024年11月06日

DX化って進んでるのか???

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、近年、多くの業界で急速に進展しています。製造業、金融業、医療業界など、多岐にわたる分野でデジタル技術の導入が進み、業務効率の向上や新しいビジネスモデルの創出が実現されています。しかし、その一方で、不動産業界においてはDXの進展が遅れている現状があります。

不動産業界は、人々の生活や経済活動に深く関わる重要な分野です。住宅の売買や賃貸、商業施設の管理、大規模な開発プロジェクトなど、多岐にわたる業務が展開されています。これらの業務は、従来からの方法で運営されていることが多く、デジタル技術の導入にはさまざまな課題が存在します。

本記事では、なぜ不動産業界でDX化が進まないのか、その主な要因を探ってみたいと思います。具体的には、高齢化、規模の問題、予算の問題、ITリテラシーの問題、そして転職が多く定着率が低いことに焦点を当てて考察します。これらの要因がどのようにDXの進展を妨げているのか、詳しく見ていきましょう。

高齢化問題

不動産業界は他の業界と比べて高齢者の割合が高いことが知られています。一般社団法人全国賃貸管理ビジネス協会の調査によれば、個人事業主の平均年齢は66.5歳で、令和4年よりも高くなっています。また、60歳以上が全体の70.5%を占め、50歳以上に至っては88.5%を占めています。このような年齢層の高さは、新しい技術やデジタルツールの導入に対する抵抗感を生み出しやすいです。熟練の経験と知識は尊重されるべきですが、DXの推進には新しい技術に積極的な理解と行動力が必要です。

取組むべき課題が見つかったとしても、高齢化が進むと、新しい技術やデジタルツールの学習コストが高くなり、適応するのに時間がかかることが多いです。そのため、既存の業務プロセスを変えることに対して不安や抵抗を感じることがあります。また、高齢者層は、長年にわたって築いてきた人間関係やビジネス慣行を重視する傾向があり、これが新しいデジタル技術の導入を遅らせる要因となっています。
不動産業界の中でも事業者間での取引を中心に事業を行っている場合、相手方も個人事業の高齢者であることが多く、高齢者同士の取引でDX化しなくても何も困らない。従来どおりで何の問題なく取引が成立してしまうので問題意識も生まれにくくなります。

規模の問題

不動産業界には大手企業から中小企業まで、さまざまな規模の企業が存在します。特に中小企業にとっては、DXの導入に必要なリソースや人材の確保が難しい場合があります。宅建業者当たりの平均従業員数は4.7人であり、組織別でみると法人では5.0人、個人では1.7人と他業種と比べて圧倒的に小規模です。小規模であるが故に、DX化の必要性を感じにくいこともあります。

小規模企業では、日々の業務がスタッフの手に余る状態で、新しいシステムの導入やデジタル化に割けるリソースが限られています。さらに、DXにかかる初期投資や継続的な運用コストを考慮すると、経営者は現状維持を選択しがちです。また、従業員が少ないために新しい技術の習得や導入に時間をかける余裕がないこともDX化の進展を阻む要因となっています。

予算の問題

DX化には多額の投資が必要です。不動産業界では、特に中小企業において、DX化に必要な予算を確保することが難しい場合があります。IT導入補助金を利用する方法もありますが、申請や手続きに時間がかかるため、結局は導入を見送るケースが多いです。

さらに、不動産業界は他業種に比べて開業時の初期投資が低く、すぐに売り上げに繋がることには積極的に投資しますが、労働生産性を向上させたり業務改善に対してコストをかける意識が希薄です。このため、長期的な視点でのDX化への投資が後回しにされがちです。

ITリテラシーの低さの問題

少し言葉が悪くなってしまって業界の方々はどうか気分を悪くしないでいただきたいです。
従来の業務プロセスやアナログな手法を否定しているわけではありません。多くの従業員の長年に基づいた手法に慣れすぎていることが、新しい技術やシステムの導入のストレスを感じてしまうことがあるという事実です。そのアレルギーは結果として定着を阻害したりDX化の推進を遅らせる原因となるケースを今までも多く見てきました。
またDXを推進するためには、ITに詳しい従業員が必要です。しかし、こうした専門知識を持つ人材の確保には高い人件費がかかります。中小企業や予算に限りがある企業にとって、このコストは大きな負担となり、結果としてDXの導入が遅れる一因となっています。

転職が多く従業員の定着率が低い事

不動産業界では、転職が多く従業員の定着率が低いこともDX化の障害となっています。従業員が頻繁に入れ替わると、新しいシステムやプロセスの導入に伴う教育やトレーニングが継続的に必要となり、これが大きな負担となります。特に、DXには時間と労力がかかるため、定着率が低いとプロジェクトの進行が遅れることが多いです。

さらに、従業員の定着率が低いと、企業内にノウハウが蓄積されにくくなります。新しい技術やシステムの運用に関する知識が共有されず、結果としてDXの効果が十分に発揮されないことがあります。これにより、企業全体のデジタル化が進まず、競争力の向上が妨げられることになります。

おわりに

5つの要因を上げましたが、『不動産業界のDX化はそもそも本当に遅れているのか?』ということも考えておく必要があります。
この5つの要因をクリアできてる規模の会社は中小企業ではなく大企業なので、DX化は進んでいます。
中小との格差は広がるばかりになります。

中小のDX化のスタートはこれら5つの要因を一つ一つをクリアしていくことなのかもしれません。
『経営者がITに関して少しでも知識と理解を深めていく・・・』
『社員の定着率を高めるためには何が必要か考える・・・・』
そして、大きな費用を使わずにもDX化は可能なはずです。
『何が自動化すると便利なのか?』
といった業務の見直しをしてみて下さい。
そしてMMJにご相談いただければきっとお力になれる事があるはずです。
MMJは2024年度IT導入補助金支援事業者として認定されており、数多くの商品が補助金対象商品として登録されています。
今年は終了しましたが、来年もIT導入補助金は実施される予定です。
業務の見直しも含めて、一度ご検討されてみてはいかがでしょうか?

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不動産Webコンサルタント 東口

大阪のコワーキングスペースでリモート勤務する不動産Webコンサルタント。元不動産屋&結婚式場支配人の経歴を持ち、mmj内でずば抜けて高い交渉力と胆力をもつ。

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2024年11月06日

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